音楽という手段で絵画を描く 『ひこうき雲』

荒井由実さんのファーストアルバム『ひこうき雲』(1973年)、CDは持っていないのでレコードの知識ですが、アートワークも素晴らしく。

荒井由実さんが多摩美の日本画選考の学生時代に発表されたアルバムです。















荒井由実さん自身のトークで聞いた話。 多摩美の学生時代、今となっては日本画の重鎮である加山又造氏が卒業制作の担当教官だったと。 卒業制作がつくれない、日本画がかけない、ただ、音楽を自分はつくっている、と、レコードを卒業制作として出したそうです。周囲は日本画の大作を描いていて、絵の描けない自分を卑下した気持ちであったと。 そうすると、加山又造氏が、あなたは日本画を音楽で描きなさい、と助言して、レコードを卒業制作と認め卒業させてくれた、と、秘話を語っていました。

この話は、画家の松井冬子さんが2011年に横浜美術館で個展をされた時、松任谷由実さんとの対談での話。聞き手が松井冬子さんだったからこそ引き出せた話だったのではないかな、と、当時感動しました。


「ひこうき雲」もそうですが、初期の名曲「海を見ていた午後」とか、「翳りゆく部屋」とか、自分は音楽を聴いているだけで映像が浮かんでくるのが不思議だと思っていました。

彼女は音楽という手段で絵画を描いている。絵と音とは分かち難く一体のものとして表現している。


そう考えると、彼女の音楽性の深さが、よくわかるのです。