『広報かるいざわ』2022年6月号「対話がひらく未来 第2回」稲葉俊郎×土屋裕子(軽井沢町 保健福祉課長)

6/1です。2022年も半年過ぎました~!2022の折り返し地点ですね。



毎月はじめの「広報かるいざわ」。2022年度は「対話がひらく未来」として、軽井沢町でハブ・つなぎ目、となるような方と対話を繰り返していきます。町民の方への意思表明や情報共有などを目的として、横糸を積極的に織り込んでいくプロジェクトです。


6月号では、軽井沢町の役場、保健福祉課長である土屋裕子さんとの対話をしています。

ダイジェスト版は広報かるいざわに、全文は病院HPに載せています。






地域やコミュニティは、生きるために必要なつながりでしたが、近代はその「つながり」が面倒くさい、ネガティブなものと、なってしまい、積極的に「つながり」を切ってきた時代だとと思います。それは自助で十分、自己責任、という時代の特徴・ムードです。


互助の地盤が壊れていく中で、自助と公助の二方向へと大きく分離してしまい、そこがうまくつながらなくなった。

「自助」と「公助」をつなぐものとしての、「互助」や「共助」という概念をもう一度立て直していくことを、医療や福祉の共通の課題として提案しています。

「コモン(Common)」という自治的な共有地が注目されているのも、そうした社会の自然治癒力の発動だと思っています。


軽井沢町での、私が知っている範囲でのいい例として、

・塩沢村で軽井沢ネイチャークラブが行っている里山活動(http://ecomuseum.visitor-center.jp/)

・信濃追分文化磁場「油やプロジェクト」(https://aburaya-project.com/)


の活動の例をあげています。

自分たちでルールを作り、自分たちで場を保ち創り上げていく場。


他にも、「互助・共助」の取り組みとしていい例があれば、教えてください。(軽井沢町だけではなく、その他の地域でも)



対話の中で、

羽塚順子「ウェルフェア トリップ ―福祉の場をめぐる小さな旅―」アノニマ・スタジオ (2021/12/2) 

も取り上げています。


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<出版社からのコメント>

著者は、福祉施設の問題解決と新しい価値を提案し、商品企画プロデュースや福祉施設のブランディング、地域おこしや企業等をつなぐ仕事づくりを行ってきました。本書では、長年福祉との関わりを持つなかで出会った魅力的な施設や人、その取り組み、そしてあまり知られずにいた「もうひとつの日本」としての側面を、丁寧に取材し紹介しています。著者が心惹かれる「福祉的な場」には、人間本来の生き方、持続可能な社会のかたちが見えてきます。障害の有無に関わらず、私たち一人ひとりがより生きやすい社会を目指すきっかけになる一冊です。


<著者について>

羽塚順子(はねづか・じゅんこ)

特別支援学級で障がい児を指導後、株式会社リクルートの営業職などを経て、書籍や雑誌、Webの企画編集、執筆に携わる。3000人以上の著名人らを取材するなか、経営者と福祉施設を引き合わせて引出物をプロデュースしたことを機に、施設商品の企画開発や販促支援を始める。2009年より社会的に弱い立場の人たちと共存する母性社会づくりをライフワークに取り組み、福祉施設の問題解決と新しい価値を提案、被災地の施設商品を企画プロデュースするなど、福祉施設と地域・企業等をつなぐ仕事づくりを行っている。「社会福祉=ウェルフェア」と「公正な取引=フェアトレード」を組み合わせた「ウェルフェアトレード」という言葉で新しい価値を創造してきた。伝統職人技を自閉症の若者が継承するプロジェクトなどでグッドデザイン賞を3回受賞。 MotherNess Publishing http://mothernessp.com/

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アノニマ・スタジオは、わたしが三冊も本を出させてもらった足を向けて寝れない!出版社ですが(大友良英×稲葉俊郎「見えないものに、耳をすます ―音楽と医療の対話」アノニマ・スタジオ(2017年)「いのちを呼びさますもの —ひとのこころとからだ」アノニマ・スタジオ(2017年12月)「いのちは のちの いのちへ ―新しい医療のかたち―」アノニマ・スタジオ(2020年7月))、本当にいい本づくりをされているところ!



この書籍の中で取り上げられている実践の場の取り組みには、多くの勇気をもらいました。








そうしたいい例を対話軸として取り上げながら、どのように応用していけるのか、保健福祉課と協力しながら、対話を継続する場を設けたいと思っています。


「公助」として働いている役場の方々は、批判の対象となることもあり、本当に大変な仕事だと思います。

わたしは、「自助」・(「互助」+「共助」)・「公助」が、対等な関係で場をつくっていくことが、未来につながると思っています。どこかに責任を押し付けたり、犯人捜しに終始せずに。建設的な未来へと、つなげたいと思っています。


ということで。ぜひお読みください~。



対話がひらく未来…「第二回・稲葉俊郎×土屋裕子」(Web完全版、軽井沢病院HP)






●【Magazine】2022/6/1:『広報かるいざわ』2022年6月号「対話がひらく未来 第2回」稲葉俊郎×土屋裕子(軽井沢町 保健福祉課長)(軽井沢町HP PDF




本文より

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稲葉:少なくともお互いの解決したい課題を持ちよる場をつくるところから始めるだけでもいいように思います。なるべく多様なアイディアを持ち寄れる場がいいですね。人は、誰もが他者や共同体に貢献している、という貢献感がすごく大事だと思うんですね。貢献感を持てるからこそ自分に自信が持てたりします。「おくすりてちょう」も、薬は医者だけが処方するものという固定観念を捨てて、「おくすり」を自由に考えましょう、という呼びかけでもあるのですが、こうしたことと、高齢者の方が町に貢献感を持ち、社会とのつながりを持つことがうまくリンクすればいいな、と思います。そうした意味でも、手帳として、対話の場を創っている気持ちです。

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稲葉:あらゆる問題は、鶏が先か卵が先か、みたいなところがあるんですよね。原因を考えるよりも、何かひとつを変えてみることで全体が同時に変わって解決に向かうこともあります。たとえば、環境を整えることは、あまり気づかないところですが、場を変えると個人の行動や考えが変わることもあるわけです。福祉で解決すべき課題も、そうして何がいい方向に転ぶのかが分からない中で挑戦が求められていると思います。中心にある哲学こそがしっかりしていれば。困っている人を助ける、という意味で、助ける側のメンバーも、そして助けられる側においても、みんなが対等であるというところから出発する必要があると思います。上下のヒエラルキーではなく、全員が対等な立場で困っている人を助け合う、そうした前提を共有して対話を行えば、今までと異なった発想のアイディアが出てくるんじゃないかと思うんです。「ウェルフェア トリップ ―福祉の場をめぐる小さな旅― 」と言う本でも勇気づけられましたが、そうしたことを共有したいですね。


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稲葉:そうしたことを行政が全て背負うよりも、コモンな場で能力を発揮できる人たちが自主的に問題を解決していく場をつくり、そこを行政や病院などが支えあう、というような、哲学に基づいた体制づくりが必要だろうと思います。やはり当事者こそが、何が問題で何を解決したいのかを一番よく分かっていると思いますし、そこに少しの手助けが必要なんですよね。アートやデザイン、音楽や舞台芸術などの方がいた方が、全く別のアイディアが出てくると思うんですよね。頭を堅くせず、柔らかくした発想で。新しい軽井沢町庁舎の三浦慎さんの建築デザインは、建築という空間や場の力で、色々な問題解決を図ろうという哲学が、底に込められていると思いましたし。


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稲葉:わたしも、患者さんのお薬手帳を見る度に、デザイン面でもう少し素敵なものがあればいいなぁ、と常々感じていたんです。薬局から無料でもらうのが当たり前で、その物自体に誰も思い入れがないもので。具体的な物体が色々な場所を移動している以上、もっと素敵なもので、素敵な思いが込められたものが色々な場所を流通して移動してほしいな、と思っていました。多くの人が最初はそう感じたのではないかと思います。わたしはそうした違和感や解決策を常に考えているところがあって、そうした素朴な疑問から、須長さんのお力を借りることで思ってもいなかった想像を超えた問題解決につながった、というところがあります。手始めに、医療と福祉と教育、そして芸術や文化活動などの課題を共に解決出来る場を作りたいですね。


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