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インターメディアテク『石の想像界――アートとアーティファクトのはざまへ』


東京駅すぐ近く、KITTE(キッテ)の中にあるインターメディアテクって場所、ご存知ですか??

ここ、自分は少なくとも東京で一番センスのいい教育と学術と芸術とが統合されたユートピアだと,個人的に思ってます。 日本郵便と東京大学総合研究博物館が協働で運営をおこなっている施設。

イキウメの前川さんと篠山紀信さん撮影でBrutusに出たとき、この場を真っ先に選んだほど。(篠山紀信さんも、はじめて来たって、驚いてましたし)

それはともかく。 インターメディアテクでの特別展示 ●『石の想像界――アートとアーティファクトのはざまへ』(2018.09.26-2019.01.27) はとってもカッこいい展示。

1月27日まで!

自然への学術的な眼差しと芸術とのあり方、自己教育としての学問や芸術の在り方が、絶妙のバランスで統合されている。 ここは見に行ってください、としか言いようがない。

古いものを大切にする姿勢は、お年寄りを大切にする社会につながる。そうではないと、私たちの社会は未来に希望を持てない社会になってしまう。

単に古いものを愛でる懐古趣味に陥るのではなくて、その深みを引っ張り出して、静謐な空間に美しく展示してその空間を体験していく。10分だけでも、1日中だっていれる空間。

しかも、すべてを無料で公開しているのはすごいことだ。 インターメディアテクの大澤さんいわく、展覧会とは無料であるのが本来であるとのこと。

ただ、無料を実現するために、図録から展示空間から展示の台座ひとつに至るまですべてみなさんが自作でつくられている。手間がかかっても、一切外注しない。その姿勢には感服だ。手間はかかる、ただ、その分の自由を手に入れている、と彼ら学芸員は言っていた。

高い美意識と、古いものを現代なりにReborn(Repairではなく)させていく揺るぎない哲学。

ぜひぜひ、こちらの展示、見に行ってほしい。東京駅のすぐ近くです。今回は図録も最高にかっこいいです。

あと、ここには古いSPレコードのJazzレコードも多数収蔵されていて、定期的にものすごい蓄音機(名機E.M.G.社「マークIX」など。E.M.G.社では蓄音機は機械ではなく「楽器」なので蓄音「器」と呼びます。この妙なこだわりこそかっこいい!!! )で聞けます。

→(蓄音機音楽会『ジャズ大集成(サミット)

【予告】蓄音機音楽会『ジャズ大集成(サミット)(59)――セントルイス・ブルース』 2019.02.22

生で聞いたことがない人は騙されたと思って聞きに行ってー、のけぞります。 夢のような、それでいて現実の場所で、自分にとってのユートピアなのです。

インターメディアテク

P.S. ●Brutus No. 854 人間関係 573 写真/篠山紀信『衝撃の余韻』稲葉俊郎、前川知大(September 1, 2017) →2017年9月1日発売ブルータスに、篠山紀信撮影で出させていただきました。ちなみに、ヌードではありません!(当たり前)

特別展示『石の想像界――アートとアーティファクトのはざまへ』 2018.09.26-2019.01.27

 インターメディアテクにおける「アート&サイエンス」の新しい実験として、フランス人アーティストのユーグ・レプとの共同企画により、「石」を巡って現代美術作品と学術標本とを組み合わせた特別展示を開催いたします。現代美術家は石という素材を通じて自然界および学術への新たな突破口を探りつつあります。その背景と全貌を明らかにすべく、本展示では、国内外のコレクションから各分野の学術標本、そして日本で紹介されることが少ない現代美術作品約100点を一堂に集わせます。自然・学術・美術という異なる領域および時間層に属する様々な「石」が会場に混在するなか、石という天産物に造形と機能が与えられ、歴史的な意味と社会的な価値が付与される過程をご覧ください。

主催 東京大学総合研究博物館 協力 アニエスベー財団・基金 + 横田茂ギャラリー 後援 ヴァン クリーフ&アーペル + 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ パリ本部

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企画趣旨

 石は人間にとって最も縁遠い自然物のひとつです。アリストテレスに遡る伝統的な分類において、鉱物界は動物界と植物界と並んで自然界の主要な構成要素でしたが、そのなかで石は唯一、人間を囲む生命の域から乖離した存在として見なされていました。人間の想像を絶する地質学的時間性のなかで生成された無機的な鉱物は、その硬い材質と複雑な構造から、時間の経過に耐えうる材料として彫刻および建築で使われてきました。無形の大理石の塊は、人間の彫刻によって初めて、人類の文化遺産を象徴するミロのヴィーナスになりうる訳です。ところが、シュルレアリスムの詩人アンドレ・ブルトンが論考「石の言語」で予言したように、20世紀半ばから石の位置付けが、芸術作品の「材料」から「主題」へと著しく変化しました。個々の石が有する複雑な構造と独自の様相が、彫刻家をはじめ美術家の造形的探求を導くようになりました。そして現代美術においては、石そのものが自然のしるしとして、未加工の状態でいわば「レディメイド」のように作品に使用され、その独特の質感が抽象的な表現を生み出しました。鉱物界の系統的な究明を目的に収集された鉱物学標本、人類による自然物加工の最古の証拠として産出した先史時代の石製標本、そして石の「想像界」を探求する現代美術作品。これらの「石」は用途および社会的文脈によって特定されるため、その様相だけでは区別できない場合があります。実際、石器を使用した、もしくはそれを模した現代美術作品も少なくありません。学術標本と美術作品とを対照させる本展示は、現代人にとって「石」という存在とその独特の造形美を再確認すると同時に、物質の意味や価値など、現代美術そのものを特徴付ける美学的プロセスを再考する機会となります。


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