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水のイメージ


祝日。

意識が外に向いやすいが、やはり足元から、、、ということでいろいろと部屋の掃除をする。

ベランダをブラシでゴシゴシと無心になって掃除をしていてふと思ったこと。

掃除って結局は水なんだなぁ、と。

雑巾で拭いても、こすり落としても、最終的にはすべてを水が流してくれる。

結局は、水の力だ。水がすべてを溶かし、流し、自然を循環させている。

汚れは、ある特定の場所に、部分的に集中的に集まると汚れになるが、

水に流されて、相応の役割をする場に行けば、すでに汚れではなくなる。

ベランダに土や落ち葉があると汚れになるし、土にプラスチックがあると汚れになる。

ベランダにプラスチックがあり、土に土や落ち葉があれば汚れではない。

水という存在は何かこの世界の根本的なことを、生きるメタファーで運ぶような存在だ。

水での連想。

ロンドンなどヨーロッパに行ったとき、水が硬水だった。硬い水。 日本は軟水。柔らかい水。

硬水と軟水の違いは、ミネラル(マグネシウムとカルシウムを合計した量)がどれだけ溶け込んでいるか。 (「Ca濃度(mg/ml)x2.5+Mg濃度(mg/ml)x4.1」)で分類されて、数値が100以下のものを軟水、300以上のものを硬水と呼ぶ。

日本のほとんどの地域の水は軟水。

軟水は一般的に料理に適している。 日本料理も水を使って、素材そのものの味を生かす料理が発達した。 だしをとるのも軟水だからこそ。ご飯も、水を含ませて炊きあげる。 緑茶も茶道の発達も、軟水という物質を溶かす水の媒体が原因になる。

それに対して、Lヨーロッパの水はほとんどが硬水。 硬水ではミネラル分が豊富にあるので、そのミネラルの作用でたんぱく質が固まり、旨み成分が溶け出さない場合もある。

だからヨーロッパでは水をそのまま利用しないで料理をする工夫が生まれた。

野菜を蒸したり、オーブンで焼いたり、油脂を加えて煮込んだりする料理が発達した。 お米は、炒めたり蒸したり、水を使わずスープストックや牛乳で煮たりする。

肉も油で炒めたりローストしたりする。

煮物はシチューのような煮込み料理が多く、水で直接煮込まずにスープストックを使い、ワインや生クリームを加えて調理する。 だから、フランス料理のような料理文化が生まれたとも考えられる。

水のミネラル成分の違いは、雨水や雪解け水が大地にしみこんで岩石を溶け込ませていく過程での違い。 地球の大地が地域によって違うから、そこに溶け込んだミネラルもかわり、水の成分も変わる。 つまり、水には地球の歴史が映し出されている。

風土に影響されて食文化も生まれている。

ひとの体も6割が水分と言われているし、いのちの働きと水の状態にも大きな関係性があるのだろう。

水での連想。

Cymatic Musicでは、水と音との共鳴の波紋の形を使いながら、それを芸術にしている。

→■Cymatic Music

この映像でも、水をベースとした流体が、まるで生きているようだ。生命の誕生の瞬間を目撃するよう。 →●『Non-newtonian fluid: IT'S ALIVE!』

水分子が、自由度を変えながら氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)を行ったり来たりすること自体がそもそも不思議な性質。

Cymaticsは、TEDGlobal 2009 でも講演されている。非常に興味深い分野だ。 →●『エヴァン グラント:サイマティックスで音を可視化する』

いずれにしても、目に見えないものも、こうして可視化されることで僕らはイメージが可能となり、理解できる。

可視化やイメージ化、というのは、人間の理解にとってとても重要なことのようだ。 意識の階層構造を考えた時に、表層意識の下にイメージの世界(イマージュ領域)が裏打ちしていることからも分かる。

水に対するイメージを豊かにしていくことは、いのちを豊かにしていくことと通じているような気がしてならない。

■老子『道徳経 8章』 「上善は水の若(ごと)し。水は善(よ)く万物を利して争わず、衆人の悪(にく)む所に処(お)る、故に道に幾(ちか)し。」 最上の善なるあり方は水のようなものだ。水は、あらゆる物に恵みを与えながら、争うことがなく、誰もがみな厭(いや)だと思う低いところに落ち着く。だから道に近いのだ。)

■貴船神社 神水 説明書き 一.自ら活動して他を動かしむるは水なり 二.常に自ら進路を求めて止まらざるは水なり 三.自ら清くして他の汚水を洗い清   濁併せ容るるの量あるは水なり 四.障害に遭い激しくその勢力を百倍するは水なり 五.洋々として大洋を充たし、   発して蒸気となり雲となり雪と変し   霰と化し凝っては玲ろうたる鏡となる   而もその性を失わざるは水なり

最後に、ドイツの写真家Markus Reugelsの作品をご紹介。

素晴らしい水の写真。水の芸術。

「LiquidArt」シリーズから、転載。


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