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能 西王母


能の発表会だった。 謡曲にて西王母のシテをさせてもらった。

仕舞いは猩々。

西王母は仙女で神様。 あちらの世界からこちらの世界に神様が降りてくるありがたい謡い。

ありがたや、ありがたや、台詞の中にもあるくらい。 謡っていて、こちらの意識も異次元になる。

地謡(コーラス隊のようなもの)として、 土蜘蛛、高砂、三井寺、東北、源氏供養、逆矛、にも参加させてもらったが、どのお話も面白い。

すべての内容に死者と夢の話が出てきて、古代の人はやはり夢という世界を極めて重視していたのだな、と思う。

朝から晩まで仕舞いを見て謡いを聞いて、能三昧の1日で、頭がクラクラした。

能舞台にあがったのは、お正月にNHKのスイッチで取材を受けた時以来。

ゆかた会だったので、ゆかたに袴です。

この袴は、祖父の遺品だと思っていたら、ひいおじいさんが残した唯一の遺品で、息子と同じ名前の寿太郎さんの袴。

能は死者と生者が入り混じる芸能なので、ぴったしだ。

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西王母とは中国で信仰されている女神。 中国の西にある崑崙(こんろん)山に住んでいるとされる。 その桃の実は不老長寿の薬とされる。

『西王母』の舞台は中国。 新しい皇帝の時代が始まる時。 皇帝(ワキ)は、臣下を従えて王宮にいる。 そこへ不思議な女性たちが現れ、三千年に一度実を結ぶという、仙女・西王母の花園の桃の実を献上する。

『桃李は物言わずとも、その木の下には自ずと人々が集まって来る』 とは、聖人をたとえた昔のことわざ。 三千年に一度実を結ぶ、この桃。 広い御心を具えられた我が君にこの桃を捧げましょう、と。

伝説の桃が実るのも、皇帝の徳に天の道が感応したゆえである。

「実は私こそ、仙女・西王母の化身です。 御威光に感応して、こうして現れました。 やがて再び訪れ、真の姿をお目に掛けましょう」 と言い、昇天していく。

やがて、天からゆったりとした音楽が鳴り始める。 西王母が侍女を引き連れて来臨したのだ。 空には伝説の鳥たちが飛び、天の羽衣はひらひらと風になびく。 数々の捧げ物をたずさえた侍女たちに囲まれ、光輝く。

西王母は桃花の盃を皇帝に勧め、治世を言祝ことほいで舞を舞う。

いつのまにか、春の風にいざなわれるように仙女は天界へと昇っていき、姿は見えなくなる。

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