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島と海と海底火山、星


5月28日に横浜美術館で行われたヨコハマラウンド。

ヨコハマトリエンナーレ2017のプレイベントとして、本当に楽しい時間だった。

今回のヨコトリのテーマは『島と星座とガラパゴス』。

このテーマを聞いた瞬間、なぜか村上春樹さんの「パン屋再襲撃」という大好きな短編のイメージが溢れてきた。

「パン屋再襲撃」での「海底火山」のイメージをきっかとして、生命を育んできた海へとイメージはうつる。

地球は海で一つにつながっていて、海底では陸としてもつながっていて、水面の高さ次第で島となり、大陸となり、海底火山となる。

そうしたイメージが波のように振動して、溢れた。

臨床で夢を聞いていると、海や水は、無意識の表象として出てくることがある。

自分の「意識水準」という水面次第で、意識と無意識の境界や接点が、つながり、離れる、ということのメタファーでもあった。

以前、電車で春樹作品を没頭して読み込む自分に対して、隣に座った見知らぬ男性から「村上春樹さんの魅力は何ですか?」と本気で話しかけられた時に答えた内容と、一致していて驚いた。

→●村上春樹と水面(February 26, 2017)

日本の「島」を調べていて、色々と面白かった。

「島」の数は定義次第だが、海上保安庁は「周囲100メートル以上」を「島」と定義し、日本での島の総数を6852!!としている。 島の定義次第で、3700とも8000とも記載があるが、「日本」は7000近い島の集合体だ、ということだ。人が住んでいる島は現在400ほどで、そのほかは無人島らしい。

おそらく、こうした「島」に日本の負の歴史を追わせているところもあるし、古代の時がそのまま保存されている場所もある。忘れられたものは、時を超えて見出されるのを待っている。

こうした島島の全体を考えていくことが、未来への可能性としての第3の道になるだろう。それは従来のように搾取したり消費したりする場ではない。

地球の歴史の観点で見れば、大陸は4億年周期で分離と融合を繰り返している。 そのプロセスも、生命が生まれるプロセスと似ている。地球が生きて活動しているからだろう。 地球レベルでも海や水が生命を生む母体として、本当に不思議な存在だと感じた。

東大の大先輩である吉見俊哉先生には素晴らしい対談をさせていただき、司会も見事な進行だった。

アーティスト、マップオフィスの方々、ヨコハマトリエンナーレの作品も楽しみだ。

自分自身のイメージとつながるため、「島」をテーマに絵を描いた。 聞き手200人それぞれに自分自身のイメージ言語で伝えようと思ったからだ。

毎日仕事が忙しいので、朝4時に起きて、バーンスタイン指揮のベートーベンやマーラーの交響曲のレコードを聞きながら絵を描き続ける時間は至福の時間で、無限に永遠にこの時間が続けばいいのに、と思うほど、楽しい時間だった。子供に還った。

意識という陸地に、無意識という波が寄せてくる。砂浜の接点、港のような場で絵を描き続けたので、ほとんど何を描いたか記憶にない。描いた後に自分でまとめて写真で撮影して、自分自身で驚いているくらいだ。

芸術のコアには、そうした驚きの体験というものがある。

それは未知のものを介して、未知の自分に出会う驚きでもあると思う。

そうした豊かな時間を過ごす事ができたのも、いい素材を与えてくれたヨコハマトリエンナーレのスタッフの方々、横浜美術館の皆さまのおかげです。本当に有難うございます。

ヨコハマトリエンナーレ自体は、8月4日(金)から11月5日(日)まで、 横浜美術館、横浜赤レンガ倉庫1号館で開催されます。 世界中の集合的な無意識を感じる最高の場と時。

→〇ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」

アーティストは、何をキャッチし、どういうシグナルを私たちに送っているのか。それは浅いものなのか、深いものなのか、それは受け手との相互作用で変わりうる流動的なもの。

お客さんとしてではなく、未知の自分自身に出会う場として、巨大な鏡としてお越しいただけるときっと楽しめると思います。

P.S. せっかくの美術祭なので、配布資料の封筒に絵を描いて、お配りしました。ひとりひとり全員違います。300枚近く描きましたので一部ですがご紹介します。みなさんには、どういうイメージが届いたのかなぁ。

→*Water Painting 1

→*Water Painting 2

→*Water Painting 3

→*Water Painting 4


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