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タリアセンとフランク・ロイド・ライトと帝国ホテル

軽井沢タリアセン。


軽井沢に行くとこの土地があって、自分はこの【タリアセン】という言葉自体がもつ不思議な響きに惹かれていた。


ケルト研究の鶴岡真弓先生と話していて「それは建築家フランク・ロイド・ライトが晩年にテーマにしたもの。つい昨日、日経新聞に帝国ホテルとタリアセンという記事を書いたので送りますね」と言われ、そこからフランク・ロイド・ライトがさらに気になりだした。



【タリアセン】はケルト神話に由来して、「知恵者」であり芸術をつかさどる妖精「タリエシン」からきている。


建築家フランク・ロイド・ライトが作った「タリアセン」という場は、工房であり弟子や学生との共同生活の場でもある建築群のことを指す。ライトの事務所は「タリアセン・フェローシップ」と呼ばれる一種の建築塾で運営されていて、自給自足の共同生活を営みながら、建築の教育と実践を行なってきた。


ウィスコンシン州のタリアセンと、アリゾナ州の砂漠のなかにあるタリアセン・ウエスト。ライトは毎年2回、この大移動を繰り返しながら、学生たちになぜ建築を立てるのか、そのことを知的操作ではなく身体感覚を通して伝えようとした。

タリアセンは実験の場であり、同時に作品発表の場にもなっていた。




ライトが言う「有機的建築(Organic architecture)」とは、建築物を中心として,外部の自然との調和をはかる。建築は人間の有機的な生活を反映させた質的なものでなくてはならないと言った(ライト『有機的建築物』 An Organic Architecture (1939))。

その思想は、1921年の旧帝国ホテルのライト館として日本にて結実する。(1968年に取り壊し。)









ライトはアメリカの建築家とばかり自分は思っていたが、彼の祖先はケルト(ウェールズ)にあり、アイデンティティーもケルトやドルイド(ケルトの土着宗教)にあったらしい。それは晩年の自伝に書かれているが、多くの人はあまり気に留めなかった。一つの文脈ができると、新しい読み直しは起きにくくなる。


ライトは【タリアセン】というケルト神話に由来する言葉にこだわっていた。そこにルーツがあったから。ライトのタリアセンという建築群は、何度も悲劇にあい、その都度立て直したものらしく、あきらめずに何度も蘇生させた。そのことが自然の再生の思想ともリンクしているとのことだ。鶴岡真弓先生の「ケルトの想像力 ―歴史・神話・芸術―」青土社 (2018)という分厚い本!に書かれていた。










いま、帝国ホテル1階では旧ライト館の展示が見れて素晴らしい。

→●HP:帝国ホテル フランク・ロイド・ライト生誕150周年記念 特別企画(2017年)


軽井沢に行く前にタリアセンという言葉にこだわったフランク・ロイド・ライトの足跡をたどりなさい、と。いろいろ不思議な符号が起きるなぁ。(ちなみに、軽井沢タリアセンを作ったのは、今の軽井沢、藤巻進町長なのです。)



















帝国ホテルには、宿泊しないと見れないフランク・ロイド・ライトをイメージしたスイートルームがある。その中も研究目的で特別に見せていただいたが、素敵な空間だ。














フランク・ロイド・ライトの帝国ホテル旧本館の面影を残すのが、帝国ホテル内にある「オールドインペリアルバー」。お酒を飲まない自分にはこの存在は知らなかった。大谷石や、壁のテラコッタは当時のままらしい。


栃木県宇都宮市でとれる大谷石(おおやいし)をライトは何度も見に行って建築資材に決めた。帝国ホテルの完成披露宴の準備の真っ最中に関東大震災(1923年)が起きたが、ほぼ無傷なままで残ったという歴史がある。

1923年から1968年に存在したライト館の優美な面影が残る。

建築学科の学生さんたちは、こういうの見に来るんだろうなぁ。












バーの入り口には、帝国ホテルに来た時に、マリリンモンロー、ベーブルース、ヘレンケラーという伝説のような偉人達のリアルな写真があって、何か時をつないでいるような異界へと時が開いている不思議な場所だった。














●Simon & Garfunkel - So Long, Frank Lloyd Wright



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